この記事では、「ロルフィング」という聞き慣れない施術・手技の解説をしています。ロルフィングが他の治療やマッサージとどのように違うのか、また手技とは具体的にどのようなことを指すのか、そしてロルフィングの特徴について説明しています。ロルフィングの全体像が少しでも見えていただけましたら幸いです。
1.ロルフィングとは:アメリカ生まれのボディワーク
ロルフィングは、1960年代にアメリカで創られた施術であり、ボディワークです。ボディワーク、というと馴染みがないかもしれませんが、施術、という言い方をすると少し聞き慣れたものかもしれません。
施術、と呼ぶ理由は、日本において「治療」と呼べるものが決まっているからです。代表的なものは、病院での診察です。あれは日本の医師免許の国家資格を取得したお医者さんが「治療行為」として、病名を診断してくれたり手術をしてくれたり、薬を処方してくれたりします。また、病院でのリハビリは、お医者さんが診断した病名を元に、理学療法士がリハビリの内容を決めて、運動指導や理学療法、いわゆる徒手で身体を触ってくれる治療を施してくれます。
また、鍼灸治療院でのマッサージも治療、と呼べます。整骨院での処置も、治療行為です。上記の二つとも、前者は鍼灸あんまマッサージ師、後者は柔道整復師の国家資格を持っているので、治療とみなされます。
なので、それ以外のものは治療と呼ぶことはできず、ロルフィングは「施術」と呼ぶことになり、アメリカでも同様で、「ボディワーク」として広がりました。
ボディワークという言葉は、「身体+働く」と直訳することができ、「身体に自ら働きかけるもの」を意味しています。いわゆる治療行為でしたら、ただ寝ていて触ってもらったり動かしてもらったりしますが、ボディワークはクライアントさんの協力が必要になります。
この辺りは「セッション」(後日投稿予定)についてのブログで詳しくお話ししますが、ここでは、いわゆる一般的な治療院や整体とはちょっと違うものなのだな、と理解してもらえればと思います。
2.ロルフィングとは:手技による施術
ロルフィングの施術は、基本的にはマッサージベッドの上で行われます。クライアントさんは仰向け(稀にうつ伏せ)にベッドに寝ていただき、ロルファー™️(ロルフィングの施術者のこと)がクライアントさんの身体を動かしたり、圧をかけたり、優しく手を当てたりしていきます。痛みを伴うような強い刺激は基本的にはありませんが、そういった場合にはクライアントさんに適宜確認しながら行いますのでご安心ください。
また、骨をボキボキッと鳴らすような施術も致しません。2018年現在ですと、多くのクライアントさんは開始15〜20分くらいしたら寝始めて、深いリラックスを感じながら施術を受けてくださっています。ずっと寝ている人もいますが、途中でふっと目覚めたり、下記のように身体を動かしてもらったりすることが必要な際にはお声がけさせてもらっています。
もちろん、深く眠っていて身体が休息を欲しているような際には、そのまま静かに施術を進めていきます。状況に応じて、その瞬間に身体が求めていることに誠実に寄り添っていきます。
上記で述べたように、必要に応じてクライアントさんに自ら身体を動かしていただきますが、汗をかくような大きな動きはここでは求めていません。関節を少し動かしてもらったり、手を挙げてもらったり、少し足に力を入れてもらったり、と本当に少しの動きしか必要ありません。ロルフィングでは、体の小さな部位や感覚が鈍くなっているところに刺激を入れることで、身体が今までとは違った使い方ができるようになり変化が出てくるので、クライアントさんにも協力していただいています。
3.ロルフィングとは:ロルフィングの特徴
では、ロルフィングは他の整体や治療とは何が大きく違うのでしょう?ロルフィングの特徴として大きく挙げられるのが、
「症状改善を第一目的としていない」
ことです。これには困惑する方もいらっしゃるかもしれませんが、肩こりや腰痛、ヘルニア、など、多くの症状を改善するためにロルフィングは施術するのではなく、
「身体の構造を整えていくこと」
が主目的にあるのです。身体の構造、つまり骨組みがしっかり整っていれば、肩こりや腰痛の症状は自然と減り、なくなっていくでしょうという理論で身体を考えていきます。もしくは、身体の骨組みが整っていない、つまり姿勢が崩れていることによって肩こりや腰痛が引き起こされてしまっているのではないか、と考えるのです。
ですので、肩が痛い、首が痛い、ということでお越しになった方々には、症状以外の部分もアプローチしていきます。上記の例でいうと、肩や首周りはもちろん張っているのですが、骨盤周りをチェックしてみると実はこちらも緊張状態が強くて張っており、肩や首をいくら柔らかくしてもまた固くなってしまう、という悪循環が続く身体になってしまっているケースが非常に多いです。肩や首が一度楽になっても、骨盤周りがまだ固い状態であるためにしばらくするとまた凝ってきてしまうのです。
そうなると、「あぁ、じゃあしばらく通わなくてはいけないのね。」と考えるのですが、実は原因が骨盤にあることが分かって、そこにアプローチしたらそれ以降肩首への症状が再発しなくなった、ということはよくあります。そして、それが僕が求めるロルフィングの理想な形ですね。
ロルフィングでは、「構造」という観点で身体を捉え、症状がある部位だけでなく、「身体全体」が理想的な構造=骨組みに整っていく、つまり姿勢が良くなっていき、そしてその姿勢が半永久的に定着していくことを一つの目標としています。そのため、一般的な治療や整体とは少し違った捉え方をしているのです。
4.ロルフィングとは:まとめ
ロルフィングがアメリカ生まれのボディワークで、手技を使った施術であり、時にはクライアントさん自ら身体を動かしていただく必要がある、そして、「身体の構造を整えること」を第一目的にしている、とお伝えしました。
ただ、誤解していただきたくないのは、症状のことを無視して施術を進めるわけではありません。ロルフィングでは、症状は二次的に発生するもので、根本には構造と呼ばれる骨組み、姿勢が崩れていることが原因である、と考えるのは先にもお話ししました。なので、その構造が整っていくことを第一に考え、その上で症状がどう変化していくかを観察していきます。
同じままなのか、減少して改善され楽になるのか、はたまた増大して不調が強くなるのか。酷くなることはほとんどありませんが、何回か受けても症状自体は変わらず、ですが、あるときから急に症状が劇的に改善に向かう、ということも良くあります。それは、症状の改善へ繋がる部分の構造が数を重ねて変化してきたことで、状態が良くなっていたのでしょう。
大まかではありますが、ロルフィングの解説として概要を説明させていただきました。次回は「ロルフィングの効果」について説明していきます。
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