脊柱メカニクスの解説④

この記事では脊柱のメカニクスについて説明しています。脊柱(背骨)は身体の姿勢を支えてくれる大事な骨組みであり、複雑なメカニクス(仕組み)の元に成り立っています。この脊柱のメカニクスを理解することは身体を改善していく上でとても大事ですので、4回に渡って内容を要約・解説しています。今回は第4回目としてまとめ、そして側湾症に関して取り上げていきます。

さて、これまで過去三回に渡り脊柱メカニクスについて書いてきました。

と長々と書いてきましたが、今回でようやく終わりになりそうです。(汗)脊柱メカニクスの解説④として、側湾症のことについて書きながら、この本についてまとめていきたいと思います。

目次

7.側湾症について

下記は以前のブログでも見た、湾曲している脊柱ですね。上部では左に側屈して右に回旋し、下部では右に側屈し左に回旋しています。この状態で見ていくのが、この脊柱に関わる大きな筋筋膜です。つまり、脊柱に付着している脊柱起立筋郡ですね。菱形筋や胸腰筋膜など、背中にはもっと多くの筋肉が付いていますが、説明の便宜上ここでは省きます。もちろん、それらにも影響を与えながらアプローチすることになるので、確認しておいてください。

出典:Spinal Manipulation Made Simple ~A Manual of Soft Tissue Techniques~

このような状態の脊柱と筋肉群に対して、このようにアプローチすることを提案しています。

このテクニックを理解するための準備として、凸側の起立筋群は寄せられて脊柱に近づいており、脊柱横の溝の深さが少なくなっていることも認識しておいてください。そして、凹側の起立筋群は脊柱から遠くに伸ばされており、肋骨に渡って平らになっていることにも気づくでしょう。

引用元:Spinal Manipulation Made Simple ~A Manual of Soft Tissue Techniques~

胸椎部と腰椎部で二種類の湾曲がこの症例ではあるわけですが、まずは、胸椎部から考えてみましょう。上の状態でいくと、胸椎は左に側屈して右に回旋していますね。ということは、脊柱の右側が出っ張っている凸側で、左側が凹んでいる凹側になるわけです。左に側屈しているので、右側の起立筋群は脊柱に近くなっていて、左側の起立筋群は遠くに離されてしまっているわけです。なので、ここではその逆方向に脊柱を持っていきながらアプローチをすることで、側屈と回旋を解消していきましょう、という論理になっていきます。

逆方向ということは、脊柱を左回旋させて、右に側屈すればいいわけです。理想的にはそうなのですが、クライアントさんが力を抜いた状態でそれが保てるようにするためには、右側を上にして横に寝てもらい、左腕を後ろに回して上半身を左回旋させるようにしていきます。ちょうどこんな感じですね。

出典:Spinal Manipulation Made Simple ~A Manual of Soft Tissue Techniques~

そして、胸椎の右側が近くなっているので、つまり脊柱から引き離す方向に、外側に向かって圧をかけていく、といった感じになります。圧を掛けたら、あとは組織が反応し始めるので一緒にダンスして、矢状面(垂直方向)に向かって伸びてまとまっていくのを待てばいいんですね。これは、結構面白い感覚なので、ぜひトライしてみてください。ここまで読んでいる人はほとんどが治療家さんか身体にとても興味のある方々だと思うので、ぜひ実践してみて感覚を味わってみてください。

この本にも書いてありますが、反応がいい感じで出てくると、矢状面だけではなく、水平面、つまり横方向にも広がるような感覚が出てきます。その感覚が出てくれると、組織が自ら変化している証拠になるので、施術者にとっても分かりやすいですし、とても素晴らしい感覚をクライアントさんも感じてくれるでしょう。

右の凸側を一通り、上から下でも、下から上でも構わないそうですが、アプローチしたら、今度は逆側に寝てもらって左側のアプローチをします。逆のことをやればいいので、左側の起立筋群を脊柱に向かって押していく方向で圧を掛けていきます。この時は、下の腕を身体の後ろに持っていく必要はありません。左回旋を作りたいので、まっすぐ横に寝てもらって大丈夫です。

出典:Spinal Manipulation Made Simple ~A Manual of Soft Tissue Techniques~

胸椎部が終わったら、腰椎部でも同じように、すでに起きている回旋と逆に、つまりその方向に戻っていったら側弯が相殺される方向に身体を持っていき、凸側は外方向へ、凹側は内側(脊柱に向かって)に圧を掛けてあげればいいわけです。シンプルですが、とても理にかなっているワークです。

では、側湾症についてのまとめをしていきます。このテクニックについて、Jeffはこのように書いています。

このテクニックを試してみることで、場合にはよるが驚くべき結果がもたらされるかもしれない。実際に側弯が減少していたり湾曲が伸ばされていたりするのを見ることもあるだろう。多くの場合で、脊柱全体の可動域が全般的に改善しているのを見るだろう。だが、中には明らかな変化が全くないケースもある。常にクライアントさんの身体全体を見ようとして、局所のアプローチが全体に影響するのをしっかり観察しなさい。また、こちらのアプローチにクライアントさんが適応できているかどうかも確認しなさい。

引用元:Spinal Manipulation Made Simple ~A Manual of Soft Tissue Techniques~

側湾症でクライアントさんが気にされているポイントは、①見た目、そして②それに伴う慢性的な症状です。自分も側湾症のクライアントさんを何人か見てきましたが、人によって程度が本当に違うので、どこまで変化や改善が起きるか、正直なんとも言えません。ですが、受けていただいた皆様に共通して言えるのは、②の症状は多くのケースで改善、もしくは完全消失になっていきました。まだ見た目的には側弯が残っている人でも、です。

ほとんどの方には、まず10シリーズを受けていただいているのですが、セッションを受けると楽になっていくのをかなり感じてもらえるようです。そして、それが積み重なっていくことで少しずつ脊柱周りの組織が解放されていくのでしょうか、それに伴い、骨盤周りや腕周りなどの緊張も抜け、最終的には頭痛や生理痛など、生理学的な状態の改善も多くみてきました。10シリーズが終わった後も定期的にメンテナンスに来ていただいており、その中でも毎回変化や快適さを味わってもらっています。

いろんなところで診てもらってきたけど、どうにも困っている、という方、もしくはそういった方がお知り合いにいらっしゃる方は、一度お問い合わせください。できることをさせていただければと思います。

8.脊柱メカニクスの解説:まとめ

過去4回に渡ってブログを書いてきましたが、この本の内容を全て書ける訳ではないですし、それをしたら著作権の問題も出てきそうなので、だいぶ端折って書かせてもらっています。

この本の内容は本当に素晴らしいのですが、英語であるがゆえに日本ではあまり知られていない内容である気がするので、こうして引用と翻訳をしながら書かせていただきました。このブログを書いていく中で自分でも理解が改めて深まりましたが、ぜひ多くの治療家、トレーナーに知っていただきたい内容です。そして、実際にロルフィングのセッションを受けて喜んでくださる方がいるので、これからもダンスする感覚を感じながら丁寧にセッションをしていきたいです。

セッションのお問い合わせはこちらからどうぞ。ご相談でも構いませんので、お待ちしております。

ご予約・お問い合わせはこちらです

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この記事を書いた人

日本語と英語を操るバイリンガルロルファー。東京出身ではありますが、神戸の風土と文化、そして人の雰囲気に親しみを感じ、2016年に移住してきました。六甲山を始めとした山々と海の自然に囲まれ、お洒落なお店が立ち並ぶ神戸三宮での日常を楽しんでいます。

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